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施設長コラム

施設長コラム

コロナ感染が継続するなかでの、秋祭りが作り出した心地よい時間とつながり

2022-11-15
10月16日、新型コロナ感染がやや下火になった秋晴れの日、びわこ学園医療福祉センターでは秋祭りを開催することができました。家族やボランティア、職員との屋外の活動で、利用者の方や家族のかたの笑顔があふれ、呼び掛け会う声と演奏される音楽や歌声があふれました。そこには、秋風の中で、心地よい時間が流れており、新型コロナで抑圧されていた生活から解放された気分となりました。びわこ学園秋祭りはびわこ学園創立60周年を記念するプレ企画としても実行されました。以前、病棟で歌い継がれてきた、オリジナル曲の合唱もありました。以下に、施設長として開会の挨拶をした内容を掲載します。



秋祭り開催の挨拶
 
本日は びわこ学園 の秋祭りです。 金木犀の香りが 漂い 秋の虫が このびわこ学園の周囲を夜歩くと 鳴り響いています。  今年も実りの秋がやってきました。 また滋賀県ではコロナの警戒ステージを1に 変更されました。 こうした 日に、やわらかい秋の陽ざしの中で秋祭りを開催できることを大変嬉しく思っています 。シンびわこ学園 というテーマに興味を持ちました 本当にワクワクドキドキあのシンゴジラ、シン・ウルトラマンを連想させるネーミングです。ウルトラマンが現在に蘇るかのように 今日びわこ学園医療福祉センター草津も 秋の 空気と風の中でwithコロナの時代に 蘇ります、 コロナ禍の中で クラスターも起こり、 面会もできず 交流もできず、 その中で小さな楽しみを見つけながら みなさん懸命に頑張りましたね。懸命に生きてきましたね。利用者も職員も家族もです 。今日は秋空のもと 思いっきり 出会いに 語らいに 音楽に 楽しんでいただければと思います。 実行委員会 の方が そのような素晴らしい場を準備して下さいました 。シンびわこ学園の意味には真実のという意味も込められているようです。人と人とが関わりながらいきがいを創出してきたびわこ学園の原点を感じられる1日と なることを期待しています 。まだまだコロナ感染は続いておりますし インフルエンザとの同時感染第8波 の襲来が予測されております。 十分感染対策に気をつけながら今日1日皆さんと一緒に楽しんでいければと思います。開会の挨拶とさせていただきます。

新型コロナ後の生き方を考えるー(4)心の抗体を育てる(新年の施設長挨拶その2を改変)

2021-03-29
  1. ウイルスとの共生と棲み分け

 ところで新型コロナウイルスをどのように考えていけばいいでしょうか。ウイルスは、人類を破滅に追い込む敵として徹底的に戦っていくという態度も一つのあり方です。 様々なウイルスは人類に脅威を与えきた歴史と、人間の遺伝子に入り込み進化させてきた生物学的貢献の姿があります。また、例えば細菌である特定の病原体は、それを排除しようとするだけでは、耐性菌を創り出したり、腸管での菌交代現象を引き起こし正常細菌藪の破綻、別の病原体となる細菌の増殖を引き起こします。腸管内に善玉菌の細菌藪、腸内フローラを形成しておくことが、免疫力アップに重要といわれています。

 ウイルスの分野でいくと、例えば今年は、新型コロナが猛威をふるっている反面、インフルエンザは減少しています。これらは、ウイルス干渉といわれている現象ではないかといわれています。新型コロナが減少してもさらに強い病原性を持ったウイルスが現れてくる可能性もあります。病原性の強いウイルスとは、排除するだけではなく、危険を及ぼさないように、コントロール可能なレベルにしていき、棲み分け、共生していく事が重要と考えています。新型コロナウイルスやウイルスも、もともとは森林の中のコウモリの中でのみ、存在していたのに、森林開発や動物の捕獲販売などを契機に世界中に広がったと言われています。 どのようなウイルスや細菌が入ってきたときでも免疫力アップには、腸内フローラのようにウイルスや菌のバランスを 一定の均衡を取りながら棲み分けていくという態度も必要かと思います。野口はるちか氏は、かるい風邪にうまくかかって免疫力をつけていくことを風邪の効用という本にまとめています。

  ただ強毒性のウイルスにたいこうするにはそれだけでは不十分で、ワクチン、抗ウイルス剤などで、できるだけ早くコントロール可能なレベルにしておいて共存していくことが求められます。そして日常的にはやはりウイルスを遠ざけていく、接触しても低レベルになる環境で生活することが大切です。マスクや換気が重要なのです。

2.   感染対策で気をつけたいこと

 新型コロナウイルスを遠ざけていくことに関して、職員の皆様に、協力を要請したいと思います。それは、食堂、更衣室、休憩室などでのマスクの装着の徹底と換気です。特に食事の際は、マスクをはずしますので、会話を控えていただくようお願いします。シールドで遮られてはいますが、マスクなしの会話は、シールドの前に飛沫を滞留させ、次に座った人に影響を与えます。会話は、食事後マスクを装着してするようにしてください。無症状の方からの感染を予防するために是非協力いただけるようお願いします。食堂のシールドのところには、鬼滅の刃の登場人物たちが、マスクなしの会話はやめるように呼びかけています。

3.  心のウイルス感染に対してはお互いの抗体を育てていこう

 新型コロナ感染で、もう一つ気をつけたいことは心のウイルス感染です。感染者、濃厚接触者への感染対策は必要ですが、その人たちを誹謗中傷、非難、排除したくなる心の動きには十分気をつける必要があります。

 以下は1月22日のNHKニュースです。新型コロナウイルスに感染したあと自宅で療養していた東京都内の30代の女性が自殺していたことが分かりました。残されていたメモには「自分のせいで迷惑をかけてしまった」などと書かれていたということです。ウイルスを排除しようとするあまり、ウイルス感染の当事者の心までを排除しようとする言動や雰囲気が無言の圧力となっていきます。感染対策として、一時的に隔離することはあってもどこまでも仲間として共存し励まし合っていく姿勢が、求められます。こうした心の抗体が必要なのは、感染している人もしていない人も同様なのです。ワクチンがなくてもお互いの配慮で心の抗体は育てていくことができます。

感染対策後の職員食堂

2021年 年頭の挨拶 その1

2021-01-21
(1月4日、全館放送で職員に向けて年始の挨拶をしたものに加筆した内容です。3回に分けて掲載します。)

1.年末年始の病棟の様子

利用者の皆さん、職員の皆さん、年末年始いかがお過ごしでしたか?  一部の利用者の状態の急変も続いて、出勤されていた皆さんや当直や呼び出しの医師が協力でなんとか乗り切っていただいたと報告を受けています。その働きに感謝いたします。そして利用者の皆様職員一緒に、施設内でびわこ神社への参拝、書き初め、模擬餅つきなど、正月らしい取り組みをしていただきました。新型コロナ感染流行の中でこうした新しい年を祝う時間がもてたこと、ができたことに感謝したいと思います。

 

2.オンラインとリアル

新型コロナ感染の中で、社会が変わったことは、ソーシャルデスタンスです。オンライン面会、ZOOMによる、会議やミーティングが、我々も日常的に活用する事になりました。オンラインでは確かに、情報を伝えるにはとてもよいツールであることがわかりました。ただ、オンライン授業やテレワークで、どうしても満たされない思いが、募ってくることも多くの人に実感されました。精神的に孤独感や疎外感を感じる人も出てきたのです。人の息づかい、触れ合う感触や暖かさ、近づいたり、遠ざかったりする距離感が伝わらないのです。しかし、我々の施設びわこ学園医療福祉センターのケア現場は、密着しての、体位変換や食事介助、オムツ交換、まさしくリアルの現場です。手に、暖かさや重さ、顔に息づかいが伝わってきます。このリアルの現場の価値がソーシャルデスタンスをとらざるを得ない社会の中で、気づかされたのです。このリアルの世界の中で仕事できることに感謝しながら、その息づかいを、面会できない家族や触れ合えない生活をしている社会の人たちに、発信していく必要があります。
  このような、何にも代え難いリアルの現場ですが、やはり感染のリスクは高い現場でもあると言えます。新型コロナを遠ざけていく時の考え方については、次回以降に述べます。

 

 

新型コロナ後の生き方を考える

2020-12-18
(3)新型コロナ流行の時代に、紅葉のびわこ学園医療福祉センター草津にマグマ"だいし"(大姉)現れる
三重県在住のIさんが、びわこ学園医療福祉センター草津に訪問された。以前、新聞記事で、僕が、中日新聞の「この人」欄に紹介された記事をみて、「先生が働いている施設を応援したくなった。」といって、職員の働きやすい環境への支援や、新型コロナへの対応の激励の手紙など、応援いただいている方で、それ以来、交流が続いている。今回は、コロナ対応への陣中見舞いと僕の読売医療功労賞の受賞祝いも兼ねて、当センターに立ち寄っていただいた。70代の着物姿がよく似合う、華奢な女性である。
 Iさんは、新型コロナの第一波のころ、 この新型コロナ禍での心の持ちようについて、手紙をくださった。「我々の内部に大きなものがあると自覚すると元気になれる」、と記載されていた。「無量寿 無碍光 不可思議光」という、小さな和紙にかかれた手書きの書は、「そのような意味だから、どこかにそっと貼っておいて」と、励ましの手紙に同封されていた。先日、11月、再び訪ねてこられたので、その意味をあらためて尋ねてみた。
「とほうもない大きなもの、宇宙とでもいうべきものが、我々の内部にあるということなの。困難な時代だからこそ、そんな大きな力を感じて生きていってくださいねという私のメッセージなの。 」
 この世のすべてのいのちは、とほうもないひろがりとエネルギーを持った宇宙をみんな、一人一人の内側に持っているのよ。宇宙の始まりのエネルギーは、ビッグバンの爆発的膨張にあるの。それが地球の中心のマグマに伝わっていて、いわば、我々はマグマのエネルギーをを内に持っているみたいなものね。」
Iさんはさらに語った。「マグマは、生きるエネルギーでもあるし、そのエネルギーは情念となって、対立や争い、災いも起こしてくるわ。喜びもある反面、悲しみもある。マグマは、時に噴火し、災害を招くこととも似ている。しかしその噴火したマグマも長い時間の結晶として、富士山のような美しい姿で我々の前にそびえたり、暖かい温泉として我々を癒やしてくれる。いのちとは、きれいごとだけではなく、未分化のエネルギーなのよ。喜びも悲しみもあるわ。どんなときも心の中にマグマの力があり、それは、地球の中心でつながっていて、宇宙のビッグバンのエネルギーを源に持っているのよ。そんなことを意識すると、つながり、協力する力になっていく可能性も感じることができるわ。わたしは内面に、マグを感じて生きていこうと思うの、そうするととても元気に生きていけそうな気がするの。」
 そういえば、少年時代、マグマ大使というテレビ番組に夢中になっていた。手塚治虫の原作だ。地球の創世者、アース様が作った、ロボット人間マグマ大使が、地球を侵略しようとするゴア一味と戦うというストーリーだった。地球の危機にまもる少年が笛を吹くと、マグマ大使が出動してゴア一味と戦い地球を守るのだ。
 Iさんのいう、マグマは宇宙を感じることで、我々の心の中に生まれてくる。「私は、さながら”マグマたいし”ね」とIさんは笑う。」「”たいし”はどう漢字で書くんですか?」と尋ねると、Iさんは「”大姉”(だいし)かな?」 といって笑った。
 Iさんから学んだこと、我々ひとりひとり、重症心身障害の方も支援する人たちや家族にも、その内側ににマグマとでもいうべき、原初的な未分化な「いのちのエネルギー」があり、それらは地球の中心のマグマに、そして、それはビッグバンに由来する宇宙のエネルギーにつながっている。困ったとき、危機が訪れたとき、マグマを感じる心の笛を吹くと、我々の心の中に、地球を救うマグマ"だいし"が、現れる。マグマは地球の中心でつながっていて、ひとりひとりがつながることで、宇宙の力を感じながら新型コロナの危機に立ち向かっていく力が生まれてくる。これがIさんのメッセージだ。
 びわこ学園の創始者糸賀一雄は、重症心身障害障害を支える人たちは、「地下水になって、重症心身障害一人一人が自ら育つ力を育てることの重要性」を説いた。今このコロナ禍では、「お互いがお互いのマグマを呼び起こし、つながりながら立ち向かっていく」、という力強さも必要なのかもしれない。
 

新型コロナ後の生き方を考える

2020-07-01
(2)地域に不可欠な仕組みとしての「ショートステイ」
1.迷った実際の対応
新型コロナ緊急事態宣言中、悩んだのはショートステイの受け入れである。重症心身障害は、呼吸器疾患での死亡率が高いと報告されている。クラスター発生予防をする視点では、閉鎖が懸命な選択肢である。しかし、社会の基本的インフラとしてのショートステイは、止めてはならない。
 4月は、すでに予約が入っていたので継続したが、自粛で取りやめされる方も多かった。5月はどうするか? 全国の多くの施設がショートの機能を閉鎖し始めていた。医療部、看護部、生活支援部と協議して、安全に、個室で受け止められる範囲での受けとめを継続することとした。入り口での感染疑いのチェックを厳格化して、ショートの途中で発熱される方も、帰宅していただいたり、他病院への紹介をさせていただいた。この時期同時に、濃厚接触する。リハビリは、いったん中止、病棟・外来の2チーム制で再開する準備をする事とした。外来は電話再診主体に切り替えた。外来の発熱者は、当初、車での診察・点滴をしていたが、途中で発熱者のためのプレハブを設置し、対応した。病棟・外来両方で、センターのスタッフたちは、ビニール袋で感染防護エプロンを作成して、可能な範囲で、緊急事態立ち向かった。医局の先生方も、発熱者に防護服で立ち向かったが、十分な防護服の備蓄がなく、すぐに枯渇する事が予測されたため、無理はできないと感じ、発熱者は診察の上、紹介する対応とした。
 
2.個人的体験
連休の谷間で、母より電話コール。91歳になる父が、急性の眼痛、視力障害、激しい頭痛で、一晩中眠れず、水分もとれず消耗しているという。緑内障発作ではないかと思い、かかりつけの訪問医に連絡して、地域の病院の眼科を紹介してもらった。実家に駆けつけると、父は「もう楽に逝かせてくれ」と苦しんでいた。説得して眼科につれていく。やはり、眼圧が高く、緑内障発作だった。緊急のレーザー治療が必要だった。父は体力が低下していたので、点滴をして、スタッフの皆さんに身体を抱えてもらいながらの数時間かかるレーザー治療を施行してもらった。眼科治療は密接、密閉、密集の現場だった。それでも病院スタッフはひるむことなく治療に当たってくれて、急激な眼痛や頭痛は消失していった。
一見落着と思ったが、視力が回復せず、日常生活は、自立度は低下し、食事、排泄が困難となった。脱水傾向で消耗し、かかりつけの先生に連休中、往診点滴をしてもらった。また、介護については、地域の小規模多機能事業所の皆さんに、ホームヘルプ、通所、ショートステイで対応してもらった。ふるさとの医療、福祉は緊急事態宣言下でも動いていた。ありがく、助けられた。あの時、あの場所で、連休をはさんでの医療や福祉の支援がなかったことを想像すると、感謝しかない。
3.エッセンシャルワークとしての医療・福祉
ステイホームが可能になるには、こうした医療福祉のスタッフがエッセンシャルワーカーとして現場にたち続けることで成立する。農業従事者、スーパーやコンビニの店員、宅配の運転手も同様だ。 第2波がきたとき、どうするか? 閉鎖か、縮小して維持か? 悩ましい。重症心身障害の方は、介護で密着すると同時に、健康維持のために、排痰処置など飛沫が飛び散るケアが必要となる。病棟にウイルスが入ってくればクラスター発生は不可避である。エッセンシャルワーカーとしての役割を果たし続けるために、十分な感染防護体制と備品が最低限必要だ。また、この間経済的損失や負担も多かった。多くの課題を残しながら第2波の出現に備える。救いは職員全員が、ひるむことなく立ち向かえた経験が積み重なったことである。

4.緊急事態宣言下の地域の仕組みとしてのこれからのショートステイ
6月末、滋賀県自立支援協議会の全体会が開催された。各圏域で、新型コロナ対策部会が設置されていた。そこで議論されたのが、ショートや通所の自粛、閉鎖。継続、濃厚接触者の判定や通所自粛を、事業所単独で考えるのではなく、その地域の保健所や福祉などの行政、自立支援協議会と一緒に考えていく方法である。その地域で不可欠なショートステイであれば、緊急事態宣言下でも機能を事業所に継続してもらう。そのかわり感染防護対策や備品などの体制は地域が責任を持つ。その中で万が一感染者が発生したときは、施設の自己責任論やバッシングは控えて、地域で行政が中心となり、人的サポートなど全力で支える応援チームを作る。こうした体制があれば、緊急事態宣言下でもショートステイの継続が可能となる。第2波では自己責任論ではない地域の仕組みとしての対応を準備したいものである。

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